(この文章は、中央公論新社『中央公論』2005年4月号に掲載されました)
21世紀政策研究所
理事長 田中 直毅
石油需要急増だが株式市場は深刻な低迷。国内の統治システムの欠陥が、非効率な乱開発を招いてしまった。経済と社会構造の調整は極めて長く、不健全なものになる可能性がある。
2004年、中国の石油需要は日本のそれを明白に上回った。
中国のエネルギー利用には、国内資源の賦存状況の制約から、エネルギー需要に占める石炭使用の比重を中期的にみても七割以下には下げられないという条件がある。ところが石油需要の急増は避けられない。モータリゼーションをはじめとした都市化現象が止められないからである。さらに国内原油生産が頭打ちになっており、結果として石油輸入の急増につながっている。しかも2008年の北京オリンピック開催に当たっては、北京市の環境改善が国際的なコミットメントとなっていることから、局部的に石炭から石油への振り替えが高まることが考えられる。中国が石油輸入量でも日本のそれを凌駕するのが2008年を待たないことも十分に考えられるところだ。
経済成長の持続性という見地から、こうした中国のエネルギー需要の「暴発」がもつ意味を探らなければならない。
...(省略)
21世紀政策研究所
理事長 田中 直毅
石油需要急増だが株式市場は深刻な低迷。国内の統治システムの欠陥が、非効率な乱開発を招いてしまった。経済と社会構造の調整は極めて長く、不健全なものになる可能性がある。
2004年、中国の石油需要は日本のそれを明白に上回った。
中国のエネルギー利用には、国内資源の賦存状況の制約から、エネルギー需要に占める石炭使用の比重を中期的にみても七割以下には下げられないという条件がある。ところが石油需要の急増は避けられない。モータリゼーションをはじめとした都市化現象が止められないからである。さらに国内原油生産が頭打ちになっており、結果として石油輸入の急増につながっている。しかも2008年の北京オリンピック開催に当たっては、北京市の環境改善が国際的なコミットメントとなっていることから、局部的に石炭から石油への振り替えが高まることが考えられる。中国が石油輸入量でも日本のそれを凌駕するのが2008年を待たないことも十分に考えられるところだ。
経済成長の持続性という見地から、こうした中国のエネルギー需要の「暴発」がもつ意味を探らなければならない。
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