[アジア業務室情報 Vol.41(17-5)]

SCB(Shinkin Center Bank):信金中央金庫総合研究所

最近、インドの投資誘致セミナーが開催される機会が増えていますが、いずれも盛況であり、人々の関心の高さがうかがえます。中国に集中していた直接投資の流れが、一極集中のリスクを懸念する企業により変化の兆を見せ始め、次なる投資先としてインドが注目されるようになったということと思われます。折しも、中国では４月に反日デモが発生、７月には元切り上げ（とさらなる切り上げの可能性）があり、日系企業は中国での事業活動を続けつつも「中国+１」を考えるようになっています。 インドへの関心の高まりは2003年にゴールドマンサックスが発表した「Dreaming with BRICs：The Path to 2050」と題したレポートがきっかけであると言われます。ブラジル、ロシア、インド、中国の2050年までの経済発展の姿を予想した同レポートは、インド以外の国の経済成長率は減速、安定化に向かうのに対してインドのみは５％余の高い成長率を続けると見込んでいます。現在10億人余のインドの人口は2030年代の早い時期に中国を抜いて世界一の人口大国になることは確実であり、市場の規模という意味でも無視できない存在となりつつあります。 今回は巨大市場への成長が期待されるインドの投資環境について、中国と比較しながら紹介します。読者の皆様が成長著しいインドに対する理解を深められるとともに、新たなビジネスチャンスにつながりましたら幸いです。最後に、ご寄稿いただきました財団法人海外投融資情報財団 調査部 岩見元子上席主任研究員には衷心よりお礼申し上げます。 (目次) １．市場規模と経済成長 ２．インドの新たな輸出産業（ITおよび医薬品産業）を支える人材 ３．投資環境の比較 ４．直接投資の現状 （１）世界からの直接投資 （２）日本からの直接投資 ５．まとめ