[SRI アジア経済ウォッチ No.05－39]

＜中国＞WTO 加盟後4 年目に決断の人民元改革
～対外圧力による改革推進、持続可能な経済成長に向けた大きな第1 歩～

中国人民銀行が7 月21 日に発表した人民元の制度改革は、内外に配慮した、切り上げ幅と適切な制度移
行への期待感を含んだものと考えられる。以下のグラフのとおり、通貨バスケット・ペッグを基づく理
論的な人民元の切り上げ幅は10%程度と推計されるが、5 月10 日の中国国家統計局の報告書によると、
人民元が3％切り上げられた場合輸出が10％以上落ち込むとの予測がされており、中国の経済成長けん
引役の１つである輸出動向に配慮したものと思われる。
一方、対外的には、米国の対中貿易赤字問題や、中国の欧米向け繊維製品問題などに対する配慮が求
められたことから、まずは改革を行動で示し、今後の切り上げ幅は中国の国内企業（特に輸出企業）の
輸出や海外企業の対中直接投資の行動と貿易黒字額の程度、ホットマネーの動向などを見ながら、その
幅の程度を検討していくものと考えられる。